日本の美しい伝統の技を伝える「器プロジェクト」

「暮らしの間を取る小さな空間」をコンセプトとした、伝統的な素材で職人によってていねいに”つくられた”、日本らしい”しつらえ”の和空間。

その空間を「人間を優しく包みこむ器」として提案している<器プロジェクト>。

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木・和紙・畳・硝子・・・それぞれの美しい素材の良さを活かし、末永く残したくなる日本のものづくりの伝統技術を持った職人さんが集い、参加者に「滲み出る本物の良さ・空気感」を体感していただく機会をつくっていらっしゃいました。

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今回は、あべのハルカスという最新鋭の近代空間の中に設置。
古き佳き日本の伝統が織り成す<器>の中で様々なコラボ企画が行われていました。

一つ目は、「蓄音機とワインの夕べ」。
約100年前の蓄音機が奏でるノスタルジックで優美な調べを、<器>の中で聴く体験ができました。

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現代のCDとスピーカーは耳に心地いい部分の音域を切り取って伝えるのに対し、蓄音機からの音色は<器>の中で優しく包み込まれるように響き渡り、リラックスしながらゆったりと聴くことができました。

 

 

 

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また、<器>のコンセプトに合わせた熟成した深みのあるワインを味わいながら聴くと、レコードが収録された往時の熱気や懐かしの空気感まで伝わってくるように感じました。

 

 

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 二つ目は、「己書とパネル貼り」。こちらはおもしろ遊便倶楽部、志乃己書道場、器プロジェクトのコラボプログラムでした。

「己書」とは、自らの<心>を自由に描く・温もりを感じる絵のような書です。副総師範直々に、禅の書画の一つ”円相”を教えていただきました。「良いご縁が沢山入ってくるよう」に少し隙間を開けた円の中に、「縁」という一文字に想いを込めて筆を走らせました。

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完成した「己書」の四方を、表具技法である「喰い先き」にして、数種類の和紙が貼られた彩り豊かなパネルから1つを選び、作品として完成しました。

三つ目は、「雅楽と篳篥で奏でるポップス演奏」。
あべのハルカス17Fにある2層吹き抜けの近未来的な空間の中に現れた、日本の伝統に包まれた<器>。
シックで重厚感のある黒畳に煌びやかな黄金屏風のコントラストが映える場で、平安時代から脈々と受け継がれてきた雅楽と篳篥が奏でる雅な調べが響き渡りました。

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世代や国境を越えて心に通じたようで、子供たちも熱心に聴いていました。

音色に耳を傾けていた外国人のお客様。話を伺うと、「日本の伝統的な楽器の音色を、触り心地が良い日本の伝統的な畳に座って聴く事が出来て最高な時間を過ごせました」と喜んでいらっしゃいました。

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 最後に、<器プロジェクト>メンバーのみなさんに、活動への想いを伺いました。

「きめの細やかさ」という言葉があるように手触り・肌触りを大切にする日本人の感覚を大切に残し、その良さをイベントを通じて国内外の皆さんに、見て知って触っていただき、「滲み出る本物の良さ・空気感」を感じて欲しいとの想いで活動をされているそうです。

また、障子や畳などを張り替えることで自然とリサイクルが行われてきた日本本来の循環型社会を見つめ直すキッカケを作り、日本の自然の多様さ・美しさ、そして日本の伝統的な素晴らしい技術の継承を目指した活動をされています。

私たちも、普段手に触れるモノに愛着が持てると、その原料となる自然を想像し、自分たちを取り巻く環境に少しずつ目を向けていくようになると思います。

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―10年先の未来では、国内外の皆さんが日本の自然と伝統技術で紡がれる「本物の良さ」を知って、自然に想いを馳せながら末長く使い続けられるモノが暮らしの中に溶け込む時代の到来を予期されていました。

 

その未来の実現に向けて一歩一歩進めていく、<器プロジェクト>の活動に今後も注目していきたいと思います。

 

 

 

レポーター:テル