「市民活動×百貨店」山崎亮氏講演会レポート

2013年6月23日(日)、あべのハルカス近鉄本店ウィング館9階「こもれびの広場」にて、聞いて知る「縁活」講座、およびコミュニティーデザイナー山崎亮氏による講演会「市民活動×百貨店」が開催されました。

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まず、縁活のコーディネーターによる、「縁活」という取り組み、その活動場所となる百貨店内に8か所設営された「街ステーション」の紹介から。百貨店とお客様、1対1だった今までの関係を変え、百貨店が「街のサードプレイス」として機能するために始まったコミュニティスペース=街ステーション。そこで様々な市民活動団体の活動内容を紹介するプログラムを用意し、お客様に参加いただくことで活動内容を知っていただきます。

この活動をサポートするためにコンシェルジュ、サポーター、レポーターから成るボランティアチーム「CSR」(私たちのことですね)が結成されたお話もありました。

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具体的に市民活動団体「Aru」様と「里山倶楽部」様にご登壇いただき、普段の活動内容、縁活に参加したきっかけ、街ステーションで行う活動、意気込みなどを語っていただきました。

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次に、コミュニティーデザイナーの山崎亮氏による講演。テーマは「なぜ市民活動団体が百貨店で活動するのか」。山崎氏がコミュニティーデザイナーとしての原点となったプロジェクトが、2001年に開園した「有馬富士公園」パークマネジメント支援。公園はただ存在するだけでは人が来なくなってしまう。だから、新たな努力をして人が公園を訪れる目的を作り、より多くの人が訪れる公園にするプロジェクト。某アミューズメントパークの手法を参考に「キャスト」という存在を作り、様々なプログラムを実行したところ、オープン時と比べて約2倍の80万人が訪れる公園になりました。

次に紹介されたのが、2010年宮崎県での「延岡駅周辺整備プロジェクト」。鉄道駅周辺の低下した市街中心地としての機能を高めるためのプロジェクト。人が集まり、街が活性化するように、駅周辺のスペースを公園に見立て、様々なイベントを行いました。改修が決定した駅舎を中心に、様々な目的を持ってそこを訪れた人同士の交流が始まっています。

2010年にオープンした鹿児島・天文館にあるデパート「マルヤガーデンズ」のコミュニティーデザイン。「延岡駅」のプロジェクトで横に広げた交流の場を、今度は縦に広げることに挑戦。デパートの中にコミュニティースペースを作り市民活動団体がワークショップを開くことで多くの人が集まるようなり、今では街にとってなくてはならない存在になりつつあります。ワークショップを通じて各団体同士の繋がりも生まれ、活動はどんどん盛んになっています。

2009年から始まり、今ではすっかり大阪に定着した「水都大阪」。「天下の台所」として古くから栄えてきた大阪という街の魅力を水辺に関わる人を増やすことで高めるために、中之島にてさまざまなイベントが開かれました。このとき初めて、活動を支える一般市民によるボランティア「サポーター」や「レポーター」が生まれます。

そして、2012年から実験的に近鉄百貨店あべの店で始まった「縁活」。あべのハルカスのオープンに合わせて2013年6月より百貨店内に8か所設定された「街ステーション」にて本格的に活動が始まりました。今まで紹介してきた過去のプロジェクトで行ってきたことをすべて合わせ、さらに百貨店に出店している店舗の人たちと色んなことが出来ないか、これから様々な取り組みを行っていく予定です。

大阪の百貨店では初めての試みで、しかも近鉄百貨店あべの店だから出来ること。この「縁活」が実現した裏側には、「市民に親しまれる百貨店」を目指す近鉄百貨店様の並々ならぬ思いと尽力が存在しました。8か所の「街ステーション」が市民活動団体の活動の舞台、社会貢献の舞台、そして様々な交流の舞台になることを願っています。

現在日本の都市部では、公民館などは予約が取れず、市民活動団体が活動をしたいと思っても場所の確保が難しいという問題が顕在します。その活動のために、百貨店の中の場所を使ってもらう。そこでどのような新しい化学反応が生まれ、どのような形で広がっていくのか、楽しみです。

様々な商業施設が手を組み協力し合うことで、みんなで「あべの」という街を盛り上げていく姿勢が大切だという山崎氏。今ではなく、20年後の未来、そこに生きる人々にとってどんな街が必要なのか。「縁活」および「街ステーション」が新たな街づくりの拠点となり、20年後、あべのという街が今以上に人々に愛される街になるための一助となればいいと思いました。

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最後に。
会場のお客様から「活動内容を多くの人に伝えるために大事にしていることは何ですか?」という質問がありました。山崎氏の答えは、ボランティアチームのレポーターの存在。ボランティアチームのレポーターは市民の集まりであり、フラットな目線で素直に感じたことを発信することができます。一方的な情報発信があまり効力を持たなくなった今、フラットな立場からの正直な情報発信がとても大切だとおっしゃいました。

これからますます盛り上がる「縁活」。レポーターとして、一般市民の素直な目線を大切に、これからも引き続きこのブログでありのままの「縁活」の情報をお届けしていきたいと思います。

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