「息をする 伯州綿」…鳥取県

まっしろな綿。思わず、顔をうずめて、「ふーーっ」と息をしてみたくなりませんか。

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鳥取県は境港産、無農薬栽培の伯州綿。これを見せていただいたとき、昔々の 祖母の姿を思い出しました。座布団の中綿を丁寧に取り出して、天日に干してふっくらさせてから、もう一度座布団につめなおすのです。懐かしいなぁ。「いいものは何度も使えて、結局は得やねん」と昔の人はいいことを言ったものです。今風に言えば「エコ」ですね。

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「この綿も何度も使えますよ」 と、教えていただいたのは、鳥取県関西本部の秋元さん。 街ステーションは、ふっくらほっこりムード。 「鳥取を知ろう!綿の種繰り・糸紡ぎをしてみよう」が開催されました。

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まずは、摘んできた綿の実を一つずつくるくるっと通します。そうすると、あら、びっくり。上手に種だけが取れます。うまいことなってるなぁ。すべて、人力。手作業です。短気な私には無理だぁ。

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などと、心でつぶやいたのがばれてしまったのでしょうか。「いらちの人のほうがいい糸がでるのよ」 と。次は、種を抜いた綿の実から糸を紡ぎ出す作業です。 「短時間で集中しないと、だらだらやってると均一な糸にならないから」

なるほど、そういうものなんですね。 「布になると1反が12.5メートル。 糸の撚りが大きいのや小さいのがあると きれいな布に織れないんです」

糸を均一にする秘訣ってあるのでしょうか。 「難しいのは、バランス。回転と引きのバランスね。バランスが悪いと糸にばらつきがでます」うーむ、何事もバランスか。勉強になります!

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写真にあるのは、赤ちゃん用のマントです。 ちょっとしたお出かけなどに、体を包み込むマント なら、脱いだり着たりが楽ちんです。 無農薬で栽培された綿ですから、赤ちゃんの肌にも やさしくて、安心。

しかも、赤ちゃんが大きくなって、マントが必要なくなったら、ほどけば糸に戻ります。スチームをかけて、糸をまっすぐに戻せば、ふっくらと息をふきかえし、マフラーやほかのものにして、長く使うことができます。

丁寧につくられたものは、ずっと息をしているように思います。 お若い後継者も育っておられるとのことですので、これからも末永く伝統の伯州綿を守っていただきたいです。