ちょっとだけ味わってみよう、
ベジタリアンという生き方

大阪は梅雨が明けた連休の中日、日本ベジタリアン協会さんの主催されるプログラム、「グリーンスムージーと大豆ミートの簡単レシピ」のレッスンが開催されました。会場は、ハルカス9階のキッチンスタジオ。まだ、できたばかりでピカピカの気持ちのいいキッチン教室です。

まず、はじめに日本ベジタリアン協会の斉藤さんからのご挨拶。斉藤さんは映画の”Avatar”を見てから、人間と動物の関係について考えるようになり、動物性食品を取らない生活へと転向されたそうです。食生活を変えてからは、持久力が付き山登りも簡単に出来るようになったとのこと。

斉藤さんが開催の挨拶をされた後、日本ベジタリアン協会事務局長の松尾さんから、協会の目的や今回のプログラムの趣旨が説明されました。斉藤さんや松尾さんが所属される日本ベジタリアン協会は「人と地球の健康を考える」をテーマに、菜食とそれに関連した健康、栄養、倫理、生命の尊厳、アニマルライツ、地球環境保全、途上国の飢餓救済などの問題に対する啓発や奉仕を目的とし、菜食に関心ある人々に必要な知識や実践方法を広め、共有していくためのネットワークづくりをされています。今回のプログラムも、その一環として実施されました。

今回のプログラムでは、大阪でマクロビオティック料理教室を開催されている池田先生を講師に迎え、参加者の方々と共に料理を体験・試食します。今回作る料理は、玄米ご飯と、お味噌汁、大豆ミートを使ったタンドリーチキン(風)、唐揚げ(風)、豚のカツ(風)の3種類とグリーンスムージーです。

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作っているのを見ているだけでお腹が空いてくる、お料理でした


まず最初のレッスンは玄米ご飯の炊き方について。池田先生が幼少時代に鶏を飼っていたために動物性食品を取らなくなったという体験談を交えながら、玄米の美味しい炊き方を教えてくださいます。玄米ご飯は10時間以上、水に浸して発芽を促した玄米を圧力なべで炊いていました。この時、少しの塩を加えるのが甘みを増加させるコツだそうです。てっきり味気ない玄米を食べやすくするために塩気を加えているのかと思っていたために意外な理由。

次に作ったのは、お味噌汁。驚いたことに出汁を使わないお味噌汁でした。昆布だしすらも使わず、野菜とお味噌だけで味を作るお味噌汁です。上手に作るコツは、火の通りやすい野菜をできるだけ下にしてお鍋に並べることだそうです。今日のお味噌汁の実は、えのき、玉ねぎ、油揚げ、かぼちゃ、人参でした。はじめにお鍋に左記の順に具材を敷き、まんべんなく火を通してから水を加え、最後にお味噌を溶きます。仕上げに刻んだネギとアオサを載せて、完成。

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池田先生(写真中央)の話に、みなさん真剣に耳を傾けます

次はいよいよメインディッシュの大豆ミートを使った料理。どの料理でもはじめは、大豆ミートを水で戻し、下味をつけてから調理をします。実はこの下味付けが、味の成否を決める非常に重要な部分です。私も以前に家で大豆ミートを使ったカレーを作ったことがありますが、その時には下味をしっかり付けなかったために、味が大豆臭く、あまり美味しくなかったことがあります。タンドリーチキン(風)は、カレー粉、豆乳ヨーグルト、ケチャップ、しょうゆ麹、塩麹などで作ったソースにしっかりと漬け込んでから、焼き色がつくまでフライパンで焼いて完成です。

一方、唐揚げ(風)と豚のカツ(風)は、にんにくや生姜、たまねぎ、りんごをすりおろしたものにしょうゆ麹を混ぜあわせたソースに漬け込んでいました。下味をしっかりとつけたあとに、唐揚げ(風)は米粉をまぶしてコメ油で揚げます。また、豚のカツ(風)は中力粉で作ったつなぎにパン粉をまぶして、コメ油で揚げていました。カラッと上手に美味しく揚げるコツは、このコメ油を使うことと、揚げているときはできるだけ触らないことだそうです。頻繁にひっくり返すと、食材の温度が下がり、ベタッとした食感になってしまうそうです。

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タンドリーチキン(風)を焼いているところ。香ばしいスパイスの香りが部屋に立ちこめます

ここまでの料理をひと通り作り終えたら、デザートのグリーンスムージーを作る前に念願の試食タイムです。レポータの私もなんとご厚意で試食させていただきました。池田先生の勧めにしたがって、まずはお味噌汁から。出汁を使っていないはずなのに、一口飲んで、ふわっと口に広がる甘みと旨みに驚きました。非常に美味しい。思わず、「お味噌が出汁入り味噌なんじゃないの!?」と疑ってしまったほどです。もちろん、そんなことは無く、かぼちゃの甘さや玉ねぎの旨みでしっかりと味のするお味噌汁でした。

次に、玄米を試食。玄米独特の香ばしい香りと僅かな甘み、それに程よい硬さのモチモチとした食感が非常に美味しかったです。これが塩の効果か!と驚きながらも、箸がどんどんと進む玄米でした。そして、いよいよ、メインディッシュの大豆ミートの料理。タンドリーチキン(風)は、下味がしっかりついており、カレーのスパイシーさも手伝って、全く大豆を感じさせない料理でした。

やはり大豆ミートには、カレー粉とかスパイスの利いた料理が合うなあと思いながら唐揚げ(風)を口に入れて再び驚きました。全く大豆臭さを感じない。断面の繊維も本当に鶏肉のようで、もも肉の皮を処理して作った唐揚げと言われれば信じてしまいそう。下味に玉ねぎやりんごを使っているために、僅かな甘みがあり、にんにくや麹のおかげで香りや旨みも十分。何よりカラッと上がっていて、中の水分が逃げていないために非常にジューシー。そして最後に、豚のカツ(風)も試食。こちらもパン粉とコメ油のおかげで、歯を入れると「ガリ!」と音がするほどカラッと揚がっています。もちろん、中の大豆ミートも唐揚げと同様に甘みや旨み、香りがしっかりとついています。大豆ミートを食べるときに、カレー粉などのスパイスで味付けをする以外にも十分美味しくする方法があるのだと学びました。
みんなで美味しくお料理を頂いたあとは、デザートのグリーンスムージーづくりです。グリーンスムージーはわかりやすく言うと、野菜とフルーツで作るミックスジュース。今回は小松菜にバナナ、キウイにすももなどフルーツを多めにして、誰でも飲みやすくしたスムージーです。色は小松菜のために緑で青臭そうな印象を初めは持ちましたが、飲んでみるとバナナやキュウイの香りが前面に出てきて、小松菜の青臭さを全く感じないものでした。誰にでも非常に飲みやすいもので、プログラムに参加していたお子さんにも好評でした。

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グリーンスムージーは子供でも飲みやすいドリンクでした

最後に、参加されていた方にインタビューをしました。皆さん、今回作った料理については、非常に美味しかったと喜んでいらっしゃいました。日本ベジタリアン協会さんとしても、今回は「普段動物性食品を食べている人でも、抵抗感が少ない料理を」と考えて、これらのメニューに決められたそうです。また参加された方の動機は様々で、普段から動物性食品を取らない生活をされており大豆ミートの使い方を勉強しに来られている方、普段は動物性食品もとるが、少し興味があったので参加してみたという方、また子供が料理教室に通いたがっているが、普通の料理教室は年齢制限から参加できないので飛び込みで参加したという方もいらっしゃいました。

やはり百貨店という場所柄、いろんな主義・生活スタイルの方が一緒に参加する機会を得ることができ、その方々での出会い(縁)が形成されるんだなと感じました。また、いままでベジタリアンというのは単に動物性食品を取らない食生活のことを指すのかと思っていましたが、インタビューをさせていただいたベジタリアンの方はみなさん、動物性食品を取らないという生活を選択した自分なりにストーリーや信念をもっていらっしゃいました。ベジタリアンというのは食生活のスタイルを指すのではなく、生き方の1つを指すものなのだなと感じました。3時間という短い時間だけでしたが、食事を作り・食べるという行為を通した取材をさせていただいて、わずかながらベジタリアンという生き方に触れることができたのかなと思う1日でした。

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日本ベジタリアン協会のみなさんと池田先生、参加者の方々

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