心つなげる 絵手紙の贈り物 // NPO法人ふれあい広場コスモス

いまどきはなんでもさっとメールで用事をすませてしまいますが、やっぱり手書きの手紙というものはいいもの。
とはいえ、それなりの体裁を整えて文章を書くのは大変だと思われていませんか?
「そこでおすすめなのが絵手紙なんです」
とおっしゃるのは、絵手紙やオカリナ、着物リフォームなどの教室企画・運営をされているNPO法人ふれあい広場コスモスさん。
私がお話を伺った9月7日は、近鉄百貨店上本町店で「東日本大震災 被災地からの絵手紙展」に連動して、絵手紙の体験教室を開かれていました。

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「絵手紙だったら、はがきに大きく絵を描いて、何か一言ちょっと添えるだけでいいでしょ」
うーん、確かにそれならハードルは低そうです。
それでも、
「でも、私は絵は苦手で・・・」
体験教室を見学されているお客さんの中にも、そう言って尻ごみしている方が多かったのですが、
「うまい・ヘタは関係ないんです!」
と、先生に背中を押されて、次々に体験にチャレンジされていました。

絵手紙の基本は、筆の上の方を持ち、紙に対して垂直に立てて線を描くことだそうです。
体験教室ではまず、線描きの練習から始めます。
左から右へ、右から左へ、上から下へ、下から上へ。最後に渦巻きも練習します。
「大体、1分間に10cmくらいの線を描くつもりでやってみてください」
見ているとかなりゆっくりのペースなので、慣れるまでがたいへんそうです。
お客さんも、
「けっこう腕がだるくなりますね」
と、筆運びに気をつかっていました。

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線描きの練習の次はいよいよお手本を見てはがきに絵を描きます。
用意されたお手本は、ピーマン、ほおずきなどの静物。
お手本をじっくり観察して、まずは輪郭となる線を墨で描きます。
色塗りは、毛先が少し広めの筆を使い、腹の部分でトントンと色を置くようにしていきます。
最初はうすめの色を塗り、濃い色はその上にまたかぶせていきます。
「ここでのポイントは、あえて白いところを残すこと。あとで絵具がにじんで広がりますし、白い部分があると光があたったみたいになるので味が出るんです」
お客さんは、色の重ね方や白い部分を残す割合などを先生に教わりながら、どんどんと描き上げていきます。

はがきいっぱいに絵を描いたら、余白の部分に文字を書きます。
「文字はほんとうにひとことでかまいません。絵の内容と関係なくてもいいのです。誰が見ても読める字で、ハネやハライもなしにして、すべて筆を止めて書いて下さい」
バランス的にははがきの上の部分に文字が入るといいのだとか。

最後に仕上げとして、名前の最初の一文字を落款として入れます。
これでぐっと画面が締まり、作品らしくなりました。

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「うまく描こうとか、人と比べたりしないで、とにかく楽しんで描いてほしいですね。絵手紙は、集中して一所懸命描くでしょう? それだけ時間をかけて、ていねいに心をこめて描くと、相手にも伝わるんです。それに、同じ題材を描いても、1枚1枚違うものになるから世界にひとつしかない、あたたかみのあるものに仕上がるんです。」

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題材にじっくり向き合い、時間をかけてゆっくりと描く。
そのていねいに過ごした時間が、絵を通して相手にも伝わる。
だからこそ絵手紙は心と心がつながるのだなと、あたたかな気持ちになりました。
(レポーター:めいしゃん)